2026年2月24日に開催された第14分科会 第6期Day9では、「メタデータ管理」をテーマにフリーディスカッション形式の勉強会を実施しました。前回(Day8)で扱ったメタデータの基礎を踏まえ、今回はあらためて基本概念を整理したうえで、参加者から事前に寄せられた問いをもとに、実務に即した議論を行いました。講義形式というよりも、「現場ではどうしているのか」「何が難しいのか」を率直に共有する回となりました。
あらためて確認する「メタデータとは何か」
冒頭では、メタデータの基本的な整理からスタートしました。「データに関するデータ」という定義だけでは抽象的であること、そしてデータ単体では意味を持たず、定義や説明があってはじめて活用できるという点があらためて確認されました。また、DMBOKに基づき、メタデータは次の3つに分類されることが整理されました。
- ビジネスメタデータ
- テクニカルメタデータ
- オペレーショナルメタデータ
今回の議論では、特にビジネスメタデータについてもう一段具体的な整理が共有されました。ビジネスメタデータには、
- 業務に関するメタデータ
- セキュリティに関するメタデータ
- データ品質に関するメタデータ
の3つがある、という説明がありました。
業務としてどのように使うのか、 セキュリティとしてどう扱うのか、データ品質として何を担保するのか。このように、ビジネスメタデータは定義だけではなく、業務・セキュリティ・データ品質に関わる情報を含むものであることが確認されました。

メタデータの責任は誰が持つのか?
ディスカッションの中で挙がった重要な論点のひとつが、「メタデータの責任は誰が持つのか」という問いでした。
- 登録した人が責任を持つのか
- データの作成者か
- データスチュワードか
- データマネジメント推進チームか
議論の中では、「データの定義に責任を持つ人」がメタデータの内容にも責任を持つべきであるという整理がなされました。単に入力作業を担う人ではなく、「そのデータが何を意味するのか」を決めた人、すなわちデータオーナーやスチュワードが中心になる、という考え方です。また、メタデータ基盤の運営・棚卸し依頼などの運用面は、中央のデータマネジメント組織が担うケースもあるものの、定義の正しさの担保は現場に近い側が担う必要があるという認識が共有されました。
メタデータ管理はなぜ理解を得にくいのか?
今回のフリーディスカッションを実施するにあたり、事前質問として挙がっていたのが、「メタデータ管理業務は直接利益を生み出さないコストセンターになりがちで、社内で理解を得づらい。どう工夫すればよいか?」という問いでした。海運業界で実務に携わる萩原さんからは、率直な現場感覚が共有されました。
- メタデータ整備は「今日やって明日効果が出る」ものではない
- 上層部には価値が伝わりにくい
- 形式的な整備だけでは浸透しない
そのうえで強調されたのは、「ビジネス側の役に立つ瞬間をつくること」という姿勢でした。業務上の非効率やデータの使いづらさを一緒に解消し、「あ、これは使える」と感じてもらう体験を積み重ねること。その積み重ねが、メタデータ管理の必要性の理解につながる、という実践的な示唆が共有されました。メタデータ管理は目的ではなく手段である。この原点に立ち返る議論でした。

データの粒度がもたらす現実的な難しさ
もう一つ印象的だったのは、コンテナ管理の実例から語られた「データの粒度」の話です。同じ「東京港」というデータでも、
- 港全体で管理するのか
- ターミナル単位で管理するのか
によって、業務上の意味は大きく変わります。上位視点では十分に見える粒度でも、現場では使えない。粒度の設定を誤ると、在庫最適化やコスト削減のロジック自体が機能しなくなる。この事例は、単なるモデリングや定義の話ではなく、ビジネスメタデータの設計が業務成果に直結することを示す具体例でした。
どのデータから整備すべきか?
「どのデータを優先してメタデータ管理の対象とすべきか」という問いも議論されました。明確な正解はありませんが、共通認識として挙がったのは、
- まず目的を明確にすること
- すべてを一度に整備しようとしないこと
- 成果が見えやすい領域から始めること
という点でした。統合マスターのように横断的に利用されるデータから整備するケースもあれば、AI活用など具体的なユースケースに紐づけて進めるケースもあります。トップダウンで方針を定める例もあれば、小さな成功体験を積み上げて広げていく例もある。組織の状況によって進め方は異なるものの、「目的起点」という原則は共通していました。

おわりに
今回のDay9は、正解を示す回というよりも、「現場ではどう向き合っているか」を持ち寄る回となりました。メタデータ管理は、技術の話でありながら、組織・役割・責任の話でもあります。そして何より、業務にどう役立てるかという実践の話でもあります。
次回のDay10では、「データマネジメントと組織変革」をテーマに開催予定です。DMBOK第17章を起点に、データマネジメントを進めるうえで組織にどのような変化が求められるのかについて議論を行います。これまで扱ってきた各テーマともつながる内容として、引き続き参加者同士で考えていきます。
※スライドの掲載については、発表者ご本人の了承を得ております。

コメント