第14分科会 第6期Day6勉強会レポート

Data Management General

2025年11月20日に開催された第14分科会の第6期Day6では、Metafindコンサルティング株式会社の鶴田一晃さんによる、論理データモデルをゼロから描く「ライブ型データモデリング」が実施されました。前提となる知識を軽く振り返った後、第14分科会の実際の運営活動を題材に、即興で論理データモデルを作成するという進め方で構成されました。

データマネジメントの原点を再確認する

冒頭では、そもそも「データマネジメントとは何か」について、DMBOKの考え方をもとに再確認が行われました。IT中心ではなく、業務部門がデータから価値を得るための活動全体として捉えること。ITはあくまで実現手段であり、目的やデータ要件はビジネス側が規定するものである、という原則が改めて共有されました。この視点に立てば、データモデリングもまたITエンジニアの専有物ではなく、業務に根差した意味ある構造を設計する活動であることが理解できます。

業務を起点に“構造”を描く

今回の演習では、第14分科会そのものの活動を題材とし、「どのような情報が存在し、それらはどう関係しているのか?」を明らかにすることを目的に、論理データモデルが作成されました。論理データモデルは、次のような流れで段階的に構築されました:

  • データモデルの精緻化:参加予定者と実参加者の違い、発表者と非発表者の区別、アンケートの発行元・回答対象といった構造を反映。「正解が複数ある」とされる理由について、矢谷さんはモデルの評価軸を3つに分類して説明しました。
  • マスタデータの整理:分科会の「メンバー」「勉強会」「期」といった、マスタからモデル化。
  • トランザクションデータの整理:開催される勉強会(Dayごと)や日程調整、アンケート、発表資料など、活動の中で発生する出来事を追加。

演習から浮かび上がった論点と気づき

論点①:主キーの設計は“業務の姿”を映す
データモデリング中、「メンバーを氏名で識別する」という前提に対して、「再入会は?」「氏名変更は?」といった問いが参加者から投げかけられました。このやりとりを通じて、モデル設計における主キーの意味、変更履歴の持たせ方、1人の人物をどう一意に扱うかといった実務上の観点が浮き彫りになりました。「業務の実態をどこまで踏まえるか」によってモデル構造が変わることが、リアルに実感された瞬間でした。

論点②:モデルを“見る人”によって使い方が変わる
モデル構造を公開することで、発表資料の格納場所、出欠の管理方法、アンケートの依頼・回答対象など、分科会活動におけるデータの構造を新規参加者にも伝えやすくなります。つまりモデルは、“図”というより“地図”として活用できるものであり、活用者によって意味づけが変わる多面性があることが示されました。

モデルの“使いみち”を考える

今回作成された論理データモデルは、通常のシステム開発における要件定義フェーズのデータ設計の他、さまざまな用途に展開できることが紹介されました。

  • システム整理や統廃合の検討
    各データが複数のExcelやツールで冗長に管理されていないかをチェックし、重複排除やツール統一の判断材料として活用できる。
  • “可視化”による利活用促進
    論理データモデルを通じて、どんな情報が、誰によって、どのように活用できるかを明示することで、新たな参加者や関係者の理解促進につながる。

こうした観点からも、論理データモデルは「設計書」としてだけではなく、「認識のすり合わせ」や「業務の道しるべ」としても使えることが、あらためて確認されました。

おわりに

今回のDay6では、白紙から論理データモデルを描くというプロセスを通して、「構造を考える」とはどういうことかを体感する時間となりました。描くことによって初めて気づく“あいまいさ”や“足りない情報”は、モデリングが単なる技術ではなく、業務や対話と密接に結びついた実践知であることを再認識させてくれます。

次回のDay7では、モデリング未経験の参加者による「名刺」を題材とした発表を予定しています。扱う情報量は少なく、4〜5エンティティほどのシンプルなモデルになる見込みです。参加者にも事前に名刺のモデルを考えてきてもらい、誰でも取り組める題材でモデリングの基本をつかむ回とする予定です。

※スライドの掲載については、発表者ご本人の了承を得ております。

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