コロナでの日本(あえて日本政府でなく、日本と書きました)の対応で一番情けないのは、政府や地方自治体でデータが寸断され、必要な情報を得るのに時間がかかる、いや時間がかかっても正確な情報が得られないことです。様々な原因があって、いまだにFAXを使っていることや、ワクチン接種記録システム(VRS)への入力が大変で、遅れ気味の自治体が多いとか、これがOCR入力とか・・・・
もちろん、こうした状況になってしまった原因は、技術的なことよりも、政治であったり、古い仕組みを脱却できない人間に起因することの方が大きいと思います。ただ、これに似たような状況に陥っている企業も多いのではないかと思います。
国民背番号についての是非はともかくとして、管理したい対象については、ユニークに識別できるキーを振りたいわけですが、日本の場合、マイナンバー、住基ネット番号、保険証番号、年金番号、運転免許証番号、パスポート番号といったものが乱立しているわけです。パスポート番号や運転免許証番号は、必ずしも国民1人1人が持つキーではありませんが、これにより個人を識別していることが多いかと思います。
しかし、住基ネット番号は、そもそもマイナンバーがあれば不要、年金番号もマイナンバーへ統合可能でしょう。 保険証番号もマイナンバーで置き換え可能でしょう。 運転免許証番号で個人を識別する役割は終わらせることができるはずです(そのために高齢者が免許返上しにくいとかは馬鹿げています)。
用途ごとにキーを振るのではなく、管理対象に対してキーを振るという、データ管理であれば、当たり前のことができていないがために、多くの情報寸断が起き、集計に人手が必要となり、人手を介するがゆえにミスも生じてデータが不正確になる。これが国や地方自治体の効率性を妨げているわけです。ワクチン接種記録の入力に時間がかかったり、感染者の集計が遅れたり、漏れたりとかは、適切に設計されたデータモデルと、それに基づいて設計されたシステムがあれば起きなかったはず。
マイナンバーが住基ネットの番号に基づいて振られる、チェックディジットの不完全性のため入力ミスを100%防止できないなど、(相対的に小さな)問題点もありますが、大きくはマイナンバー自体をまず将来的(TOBE)に、これに統一していくというビジョンを定め、それを妨げる障害を1つ1つ除き、なりすましや情報漏洩を防ぐセキュリティ、管理されている情報のオプトイン、オプトアウトなどを整備し、徐々に適用範囲を広げていくことが重要なのではないかと思います。マイナンバーカードを作ることのメリットを訴求するのはマイナポイントではなくビジョンであるべきです。
企業のシステムでも、新旧のコード体系混在や、目的別に振ったIDなど、実は同様の問題を抱えていることが多いようです(特に歴史ある大企業)。まずはTOBEをきちんと定め、データ管理をもう一度見直していくべきです。
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