DAMA日本支部では毎年11月にカンファレンスを実施しています
(参考 https://www.dama-japan.org/ADMC2020.html )
我々はその名の通り、国際組織 DAMA-International(以下DAMA-I)の日本支部であることから、 毎年 DAMA-Iや、カンファレンスEnterprise Data World(以下EDW)での関係を活かし 、海外スピーカーを招聘しています。
いま今年の海外スピーカーの調整で様々な議論をしていることもあり、 海外事例として我々は何が聞きたいのだろう? 何が価値だろうか? ということを改めて自問しているところです。
しばしば言われる事として、データマネジメント領域においては、 米国・欧州が日本よりも数年先に進んでおり、先進事例が聞けるという意見があります。
個人の所感として、ある面では当たっていると思います。
特に少し前まではこの差は顕著に感じました。
2010年代前半においては、日本ではデータマネジメントという言葉もごく一部しか流通して おらず、その反面 米国・欧州ではEDWのようなデータマネジメントを主題にした 大規模なカンファレンスが行われており、筆者が10年程前に初めてEDWに参加した時はそのギャップの大きさに驚愕したのを記憶しています。
(EDWは今年でなんと26周年!とのことです)
ただデータマネジメントに関わる日本の状況も刻々と変化しています。
デジタル・DX・データ活用などの文脈に基づき、データの重要性は既に市民権を確立しつつあります。
なぜデータが重要か、というそもそもの説明にゼロベースからの多大な苦労が必要な時代ではなくなりつつあります。
(※ もちろん各現場レベルでは、依然苦労していることと思われますが・・・全体の傾向としてです。)
DMBOKは知識のベースラインとして確立され、DAMA-J,JDMCを中心としそれ以外以外にもデータマネジメントについて語られる場も増えてきました。
従い、海外からの単なる「新しい概念の導入」という価値は相対的に縮小しています。
ただ、その背景をふまえても、自分は以下の価値が大きいのではと考えています。
(1) 事業会社主体の取り組み事例の多さ
データの課題は、ビジネスとITの両面にまたがるものです。
IT技術だけで取り組めるものではない、というのは周知の事実でしょう。
国内外の大きな違いとして、IT技術者の所在・所属があります。。
日米の比較になりますが、日本ではSIerをはじめとするIT企業にIT技術者の多くが所属していますが、
米国では事業会社自体に多くが所属しています。(「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」というタイトルの書籍があります)
話を聞いていると、高いスキルをもったIT技術者が事業会社の中でビジネス側メンバと一体になって、自社のビジネス・データの課題に取り組んだ事例が数多くあります。
もちろん日本でもよい事例はありますが、事例の母集団の量にかなりの差があるように感じています。
日本はまだまだビジネス課題とITの推進主体が切り分かれているのではないでしょうか。
この多くの事例の中から特に優れたものを紹介できればと考えています。
(2) 細分化された専門をもつコンサルタントの存在
欧米では様々な守備範囲のコンサルタントが存在しており、例えばデータ品質改善、データモデリングなど様々な専門性を打ち出しています。
またどんなにニッチに思える領域や製品群にも、その導入を支援しているコンサルが一定数存在します。
日本にもマスタデータ統合支援やデータ統合等のサービスを主として手掛けている会社・個人はいますが、母集団数にはかなり差があるように感じています
これらの方々に理論だけでなく、理論と実際の両面で講義して頂くことで日本にとっても価値が高いものが聞けるのではと考えています。
ということで、国内外それぞれのデータマネジメントの状況と傾向を鑑みたうえで、 より価値の高い講演とは何か、ということを今後も検討していきます。
このような話を聞きたいというご意見があれば是非DAMA日本支部までお寄せください。
またDAMA -I・各支部の状況も変化しております。
中国やインドなど新しい国の支部の成長も着目すべき事であり、日本からのデータマネジメントに関する情報発信の必要性も感じている次第ですがこの点については別の機会に記載することとします。
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