データ管理は何のためにやるのでしょうか?
企業であれば,競争に打ち勝つため,極論をいうと生き抜くためのマネジメントの一環だと私は思っています。
であれば,データに携わる我々はもっと経営について関心をもつべきかと思います。ということで,今年のお正月は、復刻版の「マネジメントへの挑戦(一倉定)」を読んでみました。私にとっては遠縁かつ高校(旧制中学)の先輩にあたる方ですが,これまで著作は読んだことはなく,名前のみ知っていました。
基本的に読みやすい本なのですが,目から鱗の個所が多々あり,今年はいいスタートが切れた感じです。その中で,いくつか内容を紹介したいと思います。
① バランスのとれた組織ではダメ
「すぐれた会社,成長する企業は,組織面だけでなく,いろいろな面でつねにバランスをやぶって前進している。アンバランスが成長途次の姿なのである。」
組織のアンバランスさを大事にする,組織がどんどん変化する。こうしたことに情報システムはポジティブに反応できていないのではないか。組織変更するとシステム改修が発生して大変とか,時間がかかるとかはよく聞く話ですよね。要件定義の要素として可変性分析がありますが,組織については可変であるという前提で,データモデリングしておきたいところです。
② 二つの原価計算
全部原価計算と直接原価計算
すごく乱暴な言い方をすると,全部原価計算とは,間接費も案分・配賦して製品ごとの原価を算出する財務会計としての原価,直接原価計算は直接費と間接費に分けて管理する管理会計としての原価
本書では,どの製品を捨て,どの製品を伸ばしていくかは直接原価計算でなければ判定できないということを主張しているわけです。詳細は省きますが,全部原価計算の場合,配賦ということが経営判断を誤らせる元凶ではないかと思います。
企業が大きく,複雑になってくると,この配賦コストの仕組みも複雑になり,これを取り去った直接費を取り出して分析することが困難になってきます。これは,情報システムが全てのデータを最小粒度で保持していれば,直接費と間接費を分離できるかもしれませんが,事業部門,子会社,関連会社を通して原価を正しく分析しようとしても,データフローの途中でデータが合算され分離できなくなっているケースが多々あります。トランザクションデータを加工前の状態で保持していれば,集計軸を変えれば良いだけですが,合算されてしまうとどうにもなりません。
他にも企業レベルで情報システムとそのデータモデルを考えるうえで,多くの示唆を得られる個所が多々あります。機会あれば,他の個所もデータ管理やデータモデルと絡めて紹介したいと思います。
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