データがつながれば社会が変わる

 近年、データのつながりの拡大を肌身で感じることが多い。例えば、自宅PCによく検索した商品や類似の商品が、突如ポップアップされる。これは、自宅PCと商品サイトが検索履歴のデータでつながっているためである。また、スマフォを持って外出して地図情報から目的地の検索をかけると、近くのレストランやドラッグストアなどの広告が入り、ドラッグストアなどは検索すると割引チケットも入手できる。これは、自分のスマフォの位置情報とレストランやドラッグストアの地図情報を含むサイトがつながっているからである。
 このように、販促を目的とした情報のつながりは急速に拡大している。

マイナンバーは与えられたけれど

 マイナンバーは、2015年10月5日から、個人番号の指定が始まり、2016年1月からは、行政手続における個人番号の利用が開始された。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8B%E4%BA%BA%E7%95%AA%E5%8F%B7

 すでに5年近く経過しているが、このマイナンバーが、どれほどつながりをもっているだろうか?
市区町村の手続きにマイナンバーを使うことで、一部の書類提出は不要な経験はあったが、身近で 便利になった、よりよいサービスを受けた実感は全くない。どちらかというと、マイナンバーを人に知られないため極力提示しない、マイナンバーカードは持ち歩かず自宅に保管など、秘守の扱いに注力している。

 個人を特定するIDがなければ、データのつながりは初められない。個人のデータのつながりの出発点として、マイナンバーはなくてはならないものである。
 個人情報保護の観点があまりにも強いため、マイナンバーの利用拡大はなかなか進んでいないと感じる。マイナンバーがしっかり管理され、漏洩や悪用ができない環境であれば、生まれた赤ちゃんにマイナンバーを付与する手続きだけで出生届は不要となり、年齢も把握できる。また、親のマイナンバーとつなげれば戸籍や住民情報に自動で登録ができる。年齢も把握できるので、小学校入学時に自動的に案内を出すことも可能となる(すでにこのようになっている国もあると聞いている)。このように、マイナンバーを管理し、マイナンバーをつなげることで、役所の管理作業の大幅な軽減の他に個人へのサービスが拡がる期待が膨らむ。

製品に不具合が起きた。この製品を作った工場のラインはどこ?

 これがすぐに把握できる会社は、少ないだろう。工場で作られた製品は、多くは工場⇒倉庫⇒販売店舗⇒客 のような流れで客にわたる。個々の製品にマイナンバーのような製品を特定するIDが付与されていないため、工場での製品番号、倉庫で管理する番号、販売店舗の商品番号がその場所の特有な番号で管理されている。このため、逆に客に渡った製品が客⇒販売店舗⇒倉庫⇒工場を特定するのに、個々の番号の対照表から辿らなければならず、時間がかかる。一気通貫のシステムになっていないためである。

 工場でラインを特定するには、その製品がいつ、どのラインで、どの部品を使って組み立てられたかの情報も必要となる。本来、やりたいことは、同一な不具合が起きることが想定されるため、その工場ラインが特定できたら、そこで同時期に作った他の製品がどの客に渡っているかを知り、その購入客に不具合を知らせ、重大な不良であれば使用をやめるように一刻も早く伝えることである。

 このように製品が特定できるIDを付与し、つなげていかないと十分なサービスを客に提供できない。

個人やモノの特定ができれば、サービスが膨らむ

 個人やモノを特定するIDの必要性は、認識できた。このIDにより、データが迅速につながっていけるからである。現在、個人のPCやスマフォが個人を特定するものとして使われている。しかし、個人のPCやスマフォを換えてしまえば、そこで個人の特定は途絶えてしまう。
 マイナンバーが個人を特定できるIDとして付与されたことは、意義深い。データをつなげる準備はできたのだ。

 マイナンバーのセキュリティが守られる環境となれば、データがつながることでサービスの観点から夢は膨らむ。マイナンバーカード一つあれば、買い物、ホテルのチックイン、交通機関への乗車などは、このカードをタッチするだけでできる。また、急病で病院に運ばれた際に病歴や毎日飲んでいる薬などを瞬時で把握でき、適格な治療が受けられる等々。

 このような社会を早く実現するためにも、データをつなげていく活動にさらに
関心をもっていただき、そのような機会があれば実活動に注力していただきたいと思います。データをつなげる意識の醸成が加速すれば、未来は急速に変わっていくと信じます。

以上

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